i-ha’s light conversation

AMV/MAD、動画編集がメイン。アニメ、マンガ、小説等の感想もたまに呟きます。

【動画イベントのシステム構築】AniPAFEへと至った経緯と、多重投票の弊害について



● AniPAFEとは?

イベントのルールではなく、目的等について御質問を頂く事が多いので、ルールとは別に、設立の歴史を踏まえて少しですが解説させて頂こうと思います。
「イベントに合った動画を作りたい」と言う場合などの参考にして頂ければと思います。
殆どが私事であり、イベントへの参加に必要な事柄ではありません。あまり気にせず楽しんで頂ければ充分です♪
他にも御質問などありましたらお答え致しますので、宜しく御願い致します♪


■ 動画活動前、同人・ネット活動の時代

私は同人やネットでは主に文章での活動を行っていたのですが、人気投票の運営などにも参加させて頂く機会がありました。
特にネット投票での多重や荒らしなどへの対応を勉強させて頂けたのは、AniPAFEを始めるに当たって大きな影響を与えてくれていると思います。
また、仕事でもイベントを企画・運営する機会が多くありました。
趣味と仕事、どちらにおいてもイベントに関わる事が多かったのは、イベントを楽しかったと言って下さる人がおり、イベントでの売り上げ増など、イベントの持つ力を直接感じる機会に恵まれていたからかと思います。


■ ”ニコニコ動画(仮)”の開始

自分でも僅かに動画を作っていましたが、MADと言う動画編集とコメント機能を使った新しい芸術形態に可能性を感じ、動画制作者の応援が出来ないかと思い支援活動を始めさせて頂きました。
また、ニコニコ動画著作権問題への地味な取り組みを行っており、その様な取り組みも応援させて頂いておりました。
支援・応援と言っても、コメントや歌詞付け・タグ付け等が主でした。


■ 動画共有サイト”zoome”の開始

同人やネットでの活動と並行してニコニコ動画を楽しませて頂いておりましたが、”zoome”と言う、新しい形のムービーコミュニティが設立された機会に自分のページも開設。
当時、ニコニコ動画ではアニメMADの削除が多くなってきており、残念ながら移住(動画の移行)を余儀なくされたと言う面もありました。
また、DivXStage6”と言う動画サイトの閉鎖時期も重なり、そちらから移住したと言う人も多かったです。
ニコニコ動画等は動画製作者の横の繋がりが持ち難かったのに対し、zoomeはそれぞれが個人ページを持ち、名前付きでコメントするタイプだったので、横の繋がりが持ち易いのも見逃せない点でした。


■ 動画イベントの開始

横の繋がりが持ち易いzoomeにおいては、動画イベントが行われるようになるのは必然と言っても良い事だったと思います。
多くのサークル・コミュニティが誕生し、イベントが開催され、私も参加させて頂く事が多くなりました。
最初は自分でイベントを主催するなど全く考えてはいませんでしたが、ネット投票の運営経験などがあった私には、自分なりの理想のイベントと言う物が当初から存在し、運営に参加させて頂く事が増えて行きました。
当時多くのイベントを見て、主催者様ともお話しさせて頂けた事は、今のイベントの大きな基礎となっています。


■ 動画イベント”AniPAFE”の開始

動画イベントが供給過多だったり内容が被る場合には、私がイベントを主催する事などなかったと思うのですが、私の様な下っ端がイベントを運営する需要もあると判断した結果、悩みましたが結局イベントを開始してしまいました。
以下にはzoomeでの立ち上げ時から、私が考えている理由の一部などを記して行きたいと思います。

① 時間
多くの主催者様がおりましたが忙しい人が多く、特に動画を作るのが主体の方に、更にイベント運営まで負担を課すのは、私の理想ではないと考えたのが、まず第一の原因だったと思います。
動画を増やすのがイベントの目的の一つなので、一部でも動画を減らす事に抵抗があったのかも知れません。
忙しい人には難しい事なのですが、イベントを不定期ではなく定期的に行いたいと言う思いもありました。

② 制限
テーマなどの制限をあまり掛けず、多くの作品・製作者が参加出来るようにしたい。
特に著作権問題からzoome以外での活動が難しかったアニメPV系動画作家は、なるべく参加出来るようにしたいと思っていました。

③ 集団
著作権問題に悩む動画作家が、ある程度でも横の繋がりを持つ事がイベントの目的の一つとなってます。
初心者への対応。荒らしなどへの対策など、繋がりを持つ事には幾つか利点があると思っています。

④ 投票
投票制度に関しては、動画をしっかり見て貰いたい。モチベーションや成長意識を持って貰いたい。
海外のイベントでは投票制度を採用している所も多く、日本にもその様なイベントがあって良い。などと思っていたのが設置理由の一つです。

正直な所、投票は無い方が運営は簡単ですし、動画での参加者は増えるかも知れません。
しかし、それは投票所の運営経験を持つ私がイベントを運営すると言う利点から外れます。
投票の無いイベントと言えば、例えば「ニコニコMAD晒しイベント」などもある訳で、棲み分けの必要からも、私は投票形式のイベントを選択させて頂きました。

棲み分けの観点から、萌アニメなどテーマの制限もしていませんし、静止画中心にもしておりません。
音MADは他にイベントがあるので、当イベントでは制限はしておりませんが中心にはなっていません。

投票形式イベントとは言え、1位を取る事だけを目標に参加して欲しいとも思っておりません。
楽しむ為の投票が中心であり、厳密な審査委員制度も現在は採用しておりません。
ただし、審査員制度を否定する物でもありませんし、導入は検討課題となってます。

現在は順位とは別の賞も授けさせて頂いておりますし、お祭りであると言う事を主旨とし、タイトルにも”FESITIVAL”と入れさせて頂いております。
投票は投票で楽しんで頂く。投票をする為にも、全ての動画を見て、楽しんで頂く。更に、ただ眺めるのではなく、製作者の為にもしっかりと見て頂きたい。
そう思っております。

⑤ 制作者以外
”zoome”には動画をあまり作らない、あまり作らないけれども応援はしたい、と言う人も繋がりの中に多く存在していた為、その様な人がイベントに一定の役目を果たせ、盛り上がれる為にも投票制度を採用させて頂きました。
しかし残念ながらニコニコ動画においては、制作しない人の活動と言ったらコメントであり、投票と言う活動にはあまり結びついていないのが現状です。
今年はその為、「コメント賞」などを運営から勝手に贈るルールを盛り込ませて頂いてます。

⑥ zoome以外
zoomeからニコニコ動画に移って来たのに、zoomeの人間ばかりになるのも問題かなと思ったので、なるべく自由意思での参加を期待し、直接の勧誘は殆ど行っておりません。
一応ですが「参加したそうに、こっちを見てるなw」と判断した方には、声を掛けさせて頂く事もあります。
そもそも、知り合い全てに声を掛ける方法がなくなってしまい(zoomeでは知り合い全てにメールを一括送信出来ましたが、現在は活動場所がバラバラになってしまい方法自体がありません)一部にだけ声を掛けるのも主義に反したので、直接勧誘は現在殆ど行っておりません。
昨年の参加者は、半数以上がzoomeで殆ど活動していなかった人であり、一定の成果は上がっているかと思っております。

⑦ 未来
徐々に改変はしていますが、私は当イベントに対し、あまり大きな変革をしようとは思っていません。
当初の目的の一つに、「継続」があるのがその理由の一つです。
大きく変貌してしまっては、「継続」しているとは言い切れません。

イベントを大きくしたいとも思いますが、あまり急激に大規模になっても、対応しきれるか現状の私では微妙です。
残念ながら、「忙しい」人々の中に、自分も入ってしまった様です。
継続するのにも、運営を増やした方が良いのではとも考えてみたりもしたのですが、これもなかなか難しいです。

イベントの大規模化には、著作権の問題も絡みます。”MMD杯”の様な大規模化は、現状難しいのではないかと思っているのです。
緩やかな大規模化なら、既成事実を積み上げると言う意味もあり、お目こぼしがあるかもと思っていますが、実際どうなるかは恐らく著作権者側でも解っていないでしょう。
フランスのJAPAN-EXPOなどでは、企業ブースと一緒に、AMVのイベントブースがあったりとほぼ公認されていますが、日本でどうなるかは正直解りません。

定期開催と言う、現状の維持と、着実な進歩。
これが私の目指すものであり、現状の私の力での最善だと思っています。


■ まとめ

現状では定期開催が一番の目標と言って良く、来年も再来年もイベントを続けられるだけ続ける予定でおります。
しかしそれも皆様の御参加と、楽しかったと言う感想あっての事です。

イベント主と言うのは、皆様の御参加がなければアイデンティティを失います。
これは非常に恐ろしいもので、多くのイベント主様が、イベントを継続できなくなった原因の一つです。
私はどちらかと言うと参加人数よりも感想を重視していますので、一人でも「楽しかった」「続けて欲しい」と言う意見があれば、続ける積りではいます。

しかし、もう一つ継続できなくなる大きな原因があります。
生活環境の変化、仕事、健康など、一身上の都合です。
私も、流石に自分がいつ死ぬかまでは分かりません。

もし、このイベントがなくなっても、私のイベントを引き継ぐ必要はありません。
新しいイベント主様が、新しく考え、試行錯誤した方が、より良いイベントになる筈です。
その時に、「このAniPAFEイベントの事を踏まえて考えて頂けたら」、それが一番だと思っています。

もし私が生きて継続しているなら、全く同じイベントをする必要は、当たり前ですが棲み分けの観点からもありません。
違うイベントを是非、考えて頂けたらと思います。
もっと大きく、もっと末永く続くイベントは特に大歓迎。それは私の目的であり、AniPAFEイベントの目的にも、大きく合致するものです。

繋がりが出来れば、集まってイベントをしようと言う発想は、自然に出て来ます。
目的があれば尚更です。
人の数が多ければ、目的の数が多ければ、それだけイベントは増え続ける事となりますが、それは正常な進化・発展です。

たくさんのイベント誕生を願うと共に、そのたくさんのイベントの成功を願い、そして現在のAniPAFEの成功の為に、微力ながら頑張りたいと思います。

以上、イベント前で乱筆となりましたが、御精読頂いた方ありがとうございました!



● 追記
投票に関して、幾つか御意見を頂いておりますので、取り上げさせて頂こうと思います♪


① 投票時にニコニコアカウントの記載をさせるのは敷居を上げているのではないか? 投票サイトや投票システムを使って敷居を下げて欲しい。

現在、集計時にニコニコアカウントの確認をさせて頂いているのは、多重投票を防ぐ意味合いが最も強いです。
怪しい投票が、活動していないアカウントから複数なされた場合、簡単に弾く事が出来るからです。

この「怪しい」かどうかの判断は、証拠はなく、殆ど主観になります。この判断を複数の人間でやるとズレが生じてしまうので、私は集計は基本的に一人で行わせて頂いています。
人間の判断が介在してしまうと投票の公正性が失われる危険性はありますが、このシステムは簡易であり強固です。

勿論、この方法でも完全に防ぐ事は出来ませんが、投票サイトなどを使うと多重投票は殆ど防ぐ事が出来ません。
良く問題とされるのが、IPアドレスによる不正防止とIPスプーフィング。PCを識別しているCookieを切り替えるスクリプト。新規アカウントやメールアドレスの複数取得。PCと携帯での二重投票。
いずれも程度の差こそあれ、真面目に投票している人の一票の重さ、真面目に動画を作った人の評価される正当な権利を奪う行為です。

実は以前、投票ツールを併設した事もありましたが、利用者は少なめでした。
また投票ツール等を使うと簡単に投票できる分、感想を書く人が減る可能性がありました。
投票サイトでのテストをした事もありますが、サイトに巣食う荒らしまでも無駄に呼び込んでしまうと言う結果になりました。

多重投票は、真面目に投票した人の労力をあっという間に奪う、非常に問題のある荒らし行為です。
しかもこの多重投票の殆どは「頑張って作った自分の作品を上位に!」などと言う物ではありません。
「自分さえ面白ければ何でも良い」「なるべく多くの人が嫌な気分になる物を上位に」と言う目的でなされています。

JRA「進撃の有馬記念」の事を知っていらっしゃる方には、如何に問題が大きいか分かって頂き易いかと思います。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1312/06/news139.html

「進撃の有馬記念」の多重投票は当然、自動投票ツールを使っている訳ですが、もしそれが使用された場合、私には67億票もの投票を管理する事など当然出来ません。
多重投票された結果を、そのまま発表するか、投票自体をやめるしかなくなるのです。

確かに、今迄とは桁の違う人数が投票してくれる可能性がある。
もっと大勢の人にイベントを認知してもらえる可能性がある。
投票が増えれば感想も増える。と言うのは魅力です。
荒らされるリスクと被害を鑑みても、プラスだとする考え方もあるかと思います。

過度なセキュリティはユーザビリティを損なう可能性がある。
ユーザ承認を必要とする様な個人情報の送信には責任が持てない。等、現時点の投票システムには完全な解決策がありません。
AniPAFEはお祭りとしての側面が強く、順位付けには重きを置いておりませんが、お祭りとして楽しむ為にも不正への一定の対策は必要だと思っております。

色々問題はありますが、AniPAFEでは動画と動画制作者、投票者などの保護を理由に、現時点では投票時のニコニコアカウントの併記を継続して行こうと思っております。
多少の手間はありますが、皆様の御理解と御協力を御願い致します。


② もっとたくさんの作品に投票させて欲しい。

動画参加数が少なかった事を考えて、投票出来る数も少なめに設定させて頂いております。
しかしこれは参加数が増えた場合には、投票数も増加させる方向での調整を行う事で対処出来ます。
以前も問題になった事があり、あまり途中でルールを変更したり、枠を増やしたりしたくなかったのですが、次回からは最初からきちんと投票数増加のルールも盛り込みたいと思います。
きちんと書いてあってもルールの変更に気が付かない人もいるかと思いますが、その辺りもなるべく救済出来るルールにする積りです。


③ 感想をもっと公開して欲しい。

まず全ての感想や、全文の公開を、行う予定はありません。
無記名で公開しても、全てを公開すると、書いた人のおおよその見当が付いてしまうのが主な理由です。
当然なのですが、似た様な感想も多く、全てを公開すると見辛くなると思われるのも問題です。

感想数によって、投票数が推測出来るのも、実はあまり好ましく思っておりません。
感想数が少なければ、誰が感想を書いていないのかの推測も出来てしまいます。
AniPAFEでは感想歓迎、推奨の一環として投票時に感想も書いてもらうシステムを取らせて頂いておりますが、感想を書かないと言う権利も守られるべきであると思っているのです。

全文の公開は、プライバシーの観点からも行う予定がありません。
内容の一部に、自分の動画との比較や、私(いは)への言葉が入ったりする人がいる為です。
また、これも当然ですが長文になればなるほど他の人と感想が被る部分が増えますので、これも全て公開して見辛くなるのは防ぎたいと思っております。

ただし、感想数は実は増えて来ていますので、公開数も増やしたいとは思っています。
結果発表動画での感想の公開は、動画時間を増やし過ぎてしまい、動画自体も見辛くなってしまうので難しいのですが、結果発表ブログ等での一部公開を検討させて頂きます。

勿論、感想が多かったらの話ですw
少なかったら省きますので、たくさんの御感想、是非御願い致します♪

投票数を劇的に、しかも安全に上げるのはなかなかに難しいです。
投票だけでなく、イベントを良くして行くのも、劇的には難しい。
特に、私の手間が増える方向の改造は難しいw

皆様の理想には辿り着けないかも知れませんが、理想を持った皆様であればこそ、理想の為に行動出来るとも思います。
AniPAFEを良くするだけではありません。他のイベントでも構わないです。
皆様の理想の為に私に御手伝い出来る事があれば何でも(たいした事は出来ませんがw)、御相談頂ければ幸いです♪

勿論、今回の①の様に出来ない事もいっぱいありますが、皆様宜しく御願い致します♪